寝室の乾燥対策、部屋は加湿・布団は湿気を逃がす理由

朝、喉がイガイガしませんか?寝室の乾燥対策は10月から
朝晩の空気がひんやりしてきて、「そろそろ暖房を出そうかな」と思い始める頃になりました。この時期に気になってくるのが、寝室の乾燥対策です。
朝起きると喉がイガイガする。喉が乾いて、夜中にふと目が覚める。そんな経験はありませんか。三菱電機の調査(2023年・東京と大阪の600名)では、エアコン暖房で寝るときに乾燥が気になる人が84.8%(「気になる」「どちらかといえば気になる」の合計)でした。メーカーが行った調査ですが、冬の寝室の乾燥を気にしている方は多い、というのは実感にも合うのではないでしょうか。
お店でも「朝起きると喉がイガイガする」「喉が乾いて夜中に目が覚める」というご相談をいただきます。
冬の乾燥というと、「外の空気が乾くから、部屋も乾く」と思われがちですよね。ところが、滋賀(彦根)の外の湿度は、冬になってもほとんど下がらないんです。では、なぜ寝室は乾くのか。そして、乾燥が気になるからといって加湿だけをがんばると、どうなるのか。今日は順番にお話ししていきます。
寝室の乾燥は、外の空気ではなく「暖房」でつくられます
彦根の外の湿度は、冬も74〜75%でほとんど変わりません
滋賀県の気象台がある彦根の、気象庁の平年値(1991〜2020年の平均)を見てみましょう。10月から2月にかけて、平均気温は17.7℃から4℃前後まで下がっていきます。
ところが、平均の湿度は10月から2月まで74〜75%。ほとんど横ばいなんです。
少なくとも彦根の月平均で見るかぎり、冬だから外の湿度が下がる、というわけではありません(もちろん、日によって乾いた日はあります)。「冬は外が乾いているから部屋も乾く」というより、ほかに理由がありそうですよね。
20℃に暖めると、11月には40%台まで下がる計算です
その理由が、暖房です。空気は、暖まるほどたくさんの水分を含めるようになります。空気を「水を入れる器」にたとえると、暖めた分だけ器が大きくなるイメージです。中の水の量が同じままだと、器が大きくなった分だけ「どれくらい満たされているか」を表す湿度(%)は下がるんですね。三菱電機の資料でも、室温が上がると空気中に含むことのできる水分量が増えるため、水分の量が変わらなければ相対的に湿度(%)は下がる、と説明されています。
冬の冷たい空気は、器そのものが小さい状態です。湿度が74%あっても、入っている水分の量は多くありません。その空気を暖房で暖めるので、湿度の数字がぐっと下がるわけです。
では、彦根の外の空気をそのまま20℃に暖めたら、湿度は何%になるのか。気象庁の平年値をもとに、当店で単純計算してみました。

18℃・22℃に暖めた場合も合わせると、次のようになります。
| 月 | 外の気温・湿度(彦根の平年値) | 18℃に暖めた場合 | 20℃に暖めた場合 | 22℃に暖めた場合 |
|---|---|---|---|---|
| 10月 | 17.7℃・74% | 73% | 64% | 57% |
| 11月 | 11.7℃・74% | 49% | 44% | 38% |
| 12月 | 6.5℃・75% | 35% | 31% | 27% |
| 1月 | 3.9℃・75% | 29% | 26% | 23% |
| 2月 | 4.2℃・74% | 30% | 26% | 23% |
※外の空気の水分量が変わらないとした単純計算の目安です(気象庁の平年値1991〜2020年をもとにした当店の試算)。実際の部屋は、人の呼気・料理・入浴・洗濯物などで水分が足されるので、これよりもう少し高くなることが多いです。
20℃に暖めた場合で見ると、10月は64%でまだ余裕があります。それが11月には44%と40%台になり、12月には31%まで下がる計算です。同じ寝室でも、暖房を入れるかどうかで、湿度の景色はずいぶん変わるんですね。
湿度40%が一つの目安。だから10月が準備どきです
北海道の住宅を対象にした北海道立総合研究機構の研究では、就寝中の部屋の湿度が40%以下になると、乾燥を感じることが増える傾向があると報告されています。
また厚生労働省は、かぜなどの呼吸器の感染症についてのQ&Aの中で、「特に乾燥しやすい室内では、加湿器などを使って適切な湿度(50~60%)を保つことも効果的です」としています。どちらも目安で、感じ方には個人差があります。
11月に入ってから慌てるより、暖房を本格的に使う前の10月のうちに、寝室の今の湿度を知っておく。そのほうが、ずっと気楽に始められますよ。
基本は「部屋は加湿、布団は湿気を逃がす」です
ここまでの話だと、「じゃあ加湿をがんばればいいんだ」となりますよね。でも寝室には、部屋の空気と、布団の中の空気という2つがあります。加湿するのは部屋。布団の中は、むしろ湿気を逃がしたいんです。どういうことか、見ていきましょう。
部屋だけでなく「布団の中(寝床内気候)」も見てみましょう
布団の中の温度や湿度のことを、「寝床内気候(しんしょうないきこう)」と呼びます。要は「布団の中の気候」のことです。厚生労働省の e-ヘルスネットには、「個人差や季節によっても異なりますが、寝床内の温度は33℃、湿度は50%の状態が最適とされます」とあります。
ここで大事なのは、部屋の湿度と布団の中の湿度は別もの、ということです。人は寝ている間にも汗をかき、その湿気は布団が受け止めています。しかも布団の中は体温で暖まるので、部屋とは別の空気がこもる場所です。だから部屋が乾いていても、布団の中は湿気がこもりやすいんです。
目指したいのは、布団を「からから」にすることではありません。汗の湿気をこもらせず、先ほどの50%から上がりすぎないようにすることです。部屋を加湿しすぎると、布団の湿気が抜けにくくなる可能性もあります。なので、「部屋はほどよく加湿、布団は湿気を逃がす」。この両方を意識してみてください。

布団の中の温度・湿度の基準については、梅雨に眠れない方が知っておきたい、寝床内気候の基準でもくわしく書いています。
布団の素材で、湿気の逃がしやすさが変わります
では、布団の中の湿気を逃がすには、何を見たらいいのでしょうか。まず注目したいのは、布団の素材です。
厚生労働省の e-ヘルスネットは、寝具について「吸湿性・放湿性が良く、保温性の良いことが第一条件になります」としています。掛け布団についても、「寝ている間にかく汗を吸収して透過させる吸湿性・放湿性があることも掛け布団に必要な条件となります」と書かれています。汗を吸って、あとで逃がしてくれる素材かどうかは、けっこう大切なんですね。
そこで、よく使われる素材ごとの特徴を、数字ではなく言葉で表にしてみました。
| 素材 | 湿気の吸いやすさ・逃がしやすさ | 乾燥の季節のお手入れのポイント |
|---|---|---|
| 羽毛 | 湿気を吸いやすく、逃がしやすい | 月1回を目安に、カバーをつけて干す。干すときは叩かない |
| 羊毛(ウール) | 湿気を吸いやすく、逃がしやすい。保温性も高く、ムレにくい | しまいっぱなしにせず、湿気を逃がす時間をつくる |
| 綿(もめん) | 湿気をよく吸う。吸った湿気は抜けにくい | 天日干しが大事。日に干して湿気が抜けると、かさがふっくら戻る |
| 真綿(シルク) | 湿気を吸いやすく、逃がしやすい。蒸れにくい | デリケートな素材なので、お手入れの方法は品質表示やお店で確認を |
| ポリエステル | 湿気をほとんど吸わない | 素材が湿気を受け止めてくれない分、干す・乾かすことを意識する |
※一般的な素材ごとの特徴を、当店ブログの過去記事と無印良品の記事を参考にまとめています。同じ素材でも、布団のつくりや使い方によって感じ方は変わります。
こうして見ると、「どれが良くて、どれが悪い」という話ではないことがわかります。羽毛や羊毛、真綿は湿気の出入りがしやすい素材ですし、綿は干すことで持ち味が出る素材です。素材の特徴を知ったうえで、それに合ったお手入れを選ぶ。それが大切だと、私たちは考えています。
素材ごとの良さは、やさしい素材で、やさしい眠りを〜天然繊維の魅力〜でも書いていますので、よろしければ読んでみてください。

ご自宅の布団の素材がわからないときは、布団についている品質表示のタグを見てみてください。見てもよくわからなければ、タグをスマホで撮ってお持ちいただければ、お店で一緒に確認します。
加湿は「上限」と「お手入れ」までがセットです
布団の話のあとは、部屋の加湿のほうです。加湿は、やればやるほど良いというものではありません。気をつけたいことが2つあります。
加湿のしすぎは、寝具のダニ・カビにはね返ります
「乾燥が心配だから、たっぷり加湿しよう」。気持ちはよくわかります。ただ、加湿しすぎると、別の困りごとになってはね返ってくることがあるんです。
東京都の資料には、「ダニ、カビは湿度の高い環境を好む性質があります」とあり、室内、特に壁や床に近い場所の湿度を60%以下にするよう呼びかけています。さらに、家具を壁にくっつけていると結露してカビが発生しやすくなること、押し入れは閉め切りがちで湿度が高くなりやすく、しまってある寝具にカビが繁殖することがある、とも書かれています。
寝室は、布団や毛布など湿気を含みやすいものが集まる場所です。そこで当店では、乾燥を感じやすくなる目安の40%と、ダニ・カビが気になる目安の60%で挟んで、「40%を切らないように、60%を超えないように」を一つの目安として考えています。
加湿器は「毎日の水替え」までがセットです
加湿器を使うなら、お手入れまでセットで考えておきたいところです。愛知県は、家庭の加湿器について、毎日水を入れ替えて容器を洗うこと、取扱説明書に従って定期的に内部を掃除すること、使わない期間は水を抜いて乾かしておくことを呼びかけています。
背景には、高齢者施設で、加湿器の中の汚れた水が原因とされるレジオネラ症の感染事例が報告されたことがあります。厚生労働省は平成30年(2018年)に、この事例を受けて、指針に加湿器の衛生上の措置を明記しました。
難しく考えなくて大丈夫です。まずは「前の日の水をそのまま使い続けない」ことから始めて、掃除や使わない間の乾燥は、取扱説明書に沿って続けていきましょう。
置き場所は、窓際や壁際、布団のすぐそばは避けるのがおすすめです。
今日からできる寝室の乾燥対策チェックリスト5つ
全部やらなくて大丈夫です。気になるものから、ひとつずつで十分ですよ。
- ☐ 寝室に温湿度計を置いて、10月のうちに今の湿度を見ておく。 まずは寝ている場所の近くに置いてみてください。数字が見えると、乾きすぎにも加湿しすぎにも気づきやすくなります。
- ☐ 加湿の上限を決めておく。 壁際や床に近い場所は60%以下が目安です。気になるときは、温湿度計の置き場所を変えて見比べてみましょう。
- ☐ 加湿器は毎日水を入れ替える。 使い始める前に、取扱説明書どおりの掃除も済ませておきましょう。使わない期間は水を抜いて乾かしておきます。
- ☐ 加湿器は窓際・壁際・布団のすぐそばを避けて置く。 家具や布団を壁にぴったりつけないのも大切です。壁にくっつけていると、結露してカビが発生しやすくなります。
- ☐ 布団の湿気を逃がす。 天日干しや布団乾燥機で乾かし、押し入れにしまったままにしないようにします。素材によって合う干し方が違うので、品質表示も見てみてください。
冬の寝室づくり全体の注意点は、冬の睡眠NG行動〜質のいい睡眠をとるには〜も参考にしてください。

まとめ|「部屋」と「布団の中」の両方を整えましょう
- 彦根の外の湿度は10〜2月も74〜75%。寝室が乾く大きな理由は、暖房で部屋を暖めることです(単純計算の目安では、20℃に暖めると11月は40%台、12月は30%前後)
- 暖房を本格的に使う前の10月が、温湿度計を置いて今の湿度を知るのにちょうどいい時期です
- 基本は「部屋は加湿、布団は湿気を逃がす」。布団の中は温度33℃・湿度50%の状態が最適とされています(厚生労働省 e-ヘルスネット)
- 加湿には上限(壁際・床に近い場所は60%以下)と、加湿器の毎日の水替えがセットです
乾燥が気になると、つい「加湿」ばかりに目がいきます。でも、眠っている間の湿気を受け止めているのは布団です。部屋と布団の中、両方に目を向けてみると、冬の寝室は今より過ごしやすくなると思います。
ねむねむはうすでは、寝室の乾燥対策や、布団の中の湿気・素材の選び方について、お一人おひとりに合わせてご相談を承っています。乾燥に限らず、眠りに関することはお気軽にご来店ください。
「朝起きると喉がイガイガする」「自分に合う布団がわからない」という方は、ぜひ一度、『ねむりの相談所』にご相談ください。スリープマスターが、あなたの寝室や寝具の状況に合わせてご提案します。
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この記事を書いた人: ねむねむはうす スリープマスター/最終更新日: 2026年10月5日
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、診断・治療を目的としたものではありません。
参考・出典
- 気象庁「過去の気象データ検索 彦根 平年値(年・月ごとの値)」統計期間1991〜2020年 https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/view/nml_sfc_ym.php?prec_no=60&block_no=47761
- 月別の部屋の湿度の表・グラフ:気象庁の平年値をもとにした当店の試算(外の空気の水分量が変わらないとした単純計算)
- 三菱電機 霧ヶ峰PR事務局 発表資料(2024年1月19日) https://www.mitsubishielectric.co.jp/home/kirigamine/special/oshiete/pdf/240119.pdf
- 北海道立総合研究機構 北方建築総合研究所「乾燥感低減のための室内環境制御に関する研究」(平成23年度 年報) https://www.hro.or.jp/upload/23319/43.pdf
- 厚生労働省「令和7年度 急性呼吸器感染症(ARI)総合対策に関するQ&A」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/QA2025.html
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠のためのテクニック -よく眠るために必要な寝具の条件と寝相・寝返りとの関係」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-01-003.html
- 東京都「住居とアレルギー疾患」 https://www.hokeniryo1.metro.tokyo.lg.jp/allergy/pdf/indoor06.pdf
- 愛知県「家庭内におけるレジオネラ対策について」 https://www.pref.aichi.jp/soshiki/konan-hc/0000059867.html
- 厚生労働省「レジオネラ症を予防するために必要な措置に関する技術上の指針の一部改正について」(平成30年8月3日) https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001318584.pdf
- 無印良品 掛け布団の素材に関する記事(素材の吸湿性・放湿性) https://www.muji.com/jp/ja/stories/interior/457851
- 当店ブログ「やさしい素材で、やさしい眠りを〜天然繊維の魅力〜」「綿わた と 真綿の違い」「羽毛布団のメンテナンス方法は?」
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