熱帯夜が寝苦しいのはなぜ?エアコンだけでは眠れない理由

熱帯夜、今年も「エアコンをつけているのに寝苦しい」夜が続いていませんか
今年の夏も、寝苦しい夜が続いていますよね。京都市では昨年2025年、観測史上初めて猛暑日・熱帯夜がともに60日を超える「60-60」を記録したそうです。大阪では熱帯夜が77日にのぼったという報道もありました。関西全体が、記録的な暑さの中で夜を過ごしているわけです。
パナソニックが2025年夏に実施した調査によると、夏の睡眠に「満足していない」と答えた人は63%にのぼり、睡眠を妨げる要因の1位は「暑さ」で78%だったそうです。エアコンをつけて寝ているはずなのに、なぜこんなに寝苦しいのか。「うちだけじゃなかったんだ」とホッとする一方で、「じゃあ何が足りないんだろう」という疑問も湧いてきますよね。今日はその理由を、寝具専門店の立場から少し掘り下げてお話ししてみようと思います。
室温を下げているのに眠れないのはなぜ?「布団の中」は別の世界
「エアコンはちゃんとつけているし、設定温度も下げている。それなのに、なんだか眠りが浅い」——お店でも、こういうご相談をいただくことがよくあります。
実はこれ、気のせいではないんです。ダイキン工業が2023年に行った調査によると、週に1日以上、就寝時にエアコンを使う人は8割を超えているにもかかわらず、室温対策をしている人の6割以上が「睡眠の質の低下」や「起床時のだるさ」を感じているという結果が出ています。一晩中エアコンを使わない理由としては、「冷えすぎるから」58%、「電気代がかかるから」51%、「体に悪いと思うから」28%という声も挙がっていました。
ここで一度立ち止まって考えてみたいのが、「室温」と「布団の中の温度・湿度」は、実は別物だということです。専門的には「寝床内気候(しんしょうないきこう)」と呼ばれる、布団の中だけの小さな気候があります。エアコンで部屋の空気をいくら冷やしても、布団の中の環境が整っていなければ、体は快適に眠りへ入っていけません。次の章では、この「布団の中の世界」がなぜ眠りを左右するのか、体の仕組みから見ていきましょう。
熱帯夜になぜ眠れないのか——深部体温と寝床内気候の仕組み
眠くなるとき、体の中では何が起きている?(深部体温のはなし)
人が眠くなるとき、体の中では「深部体温」と呼ばれる、脳や内臓など体の内側の温度を下げる働きが起きています。テルモ体温研究所の解説によると、眠りにつくときは副交感神経が優位になり、手足の血管が広がって血流が増え、そこから熱が外へ逃げていく(放熱)ことで、深部体温がゆっくり下がっていくのだそうです。
手足の表面温度は普段33.5℃前後ですが、入眠期には約1.5℃ほど上がるという報告もあります(桃仁会リハビリテーションだよりより)。手足は体の中でも表面積が広く、熱を逃がすのに向いた場所なんですね。冷え性の方がなかなか寝つけないのは、この放熱がうまく起きず、深部体温が下がりきらないためだと言われています。
つまり「暑くて眠れない」というのは、単に気温が高いという話だけでなく、「熱をうまく逃がせず、深部体温が下がらない」という体の仕組み上の問題でもあるわけです。
「寝床内気候」って何?室温との違い
快眠の目安として知られているのが、「寝床内気候」の理想値です。布団の中の温度が33℃±1℃、湿度が50%±5%というのが、心地よく眠れる範囲だと言われています。
布団の中の温度は、室温の影響を強く受けます。だから室温を26℃前後に整えることは大切な前提ではあるのですが、それだけで寝床内気候が自動的に整うわけではありません。夏の夜は室温も湿度も高くなりがちで、布団の中に熱と湿気がこもりやすいんです。そうなると、先ほどお話しした「放熱」がうまくいかず、深部体温が下がりきらないまま眠りが浅くなってしまう——これが、熱帯夜に「エアコンはつけているのに寝苦しい」と感じる正体だと考えられます。
冷感素材と吸湿・放湿素材、役割が違います(寝具専門店の視点)
ここからは、寝具専門店ならではの視点で、少しだけ踏み込んでお話しします。
夏の寝具というと「接触冷感」のひんやりした肌触りをイメージする方が多いと思います。実際、横になった瞬間のひんやり感は、スムーズに眠りへ入っていくきっかけとして役立つと言われています。ただ、ここで知っておいていただきたいのが、冷感素材のひんやり感と、一晩中快適な寝床内気候を保つことは、実はイコールではないという点です。
接触冷感の素材は、触れた瞬間の熱を吸収してひんやり感じさせる仕組みが中心になっているものが多く、吸湿性や放湿性(汗や湿気を吸って外へ逃がす性質)が高いとは限りません。冷感素材だけに頼っていると、寝ている間にかいた汗の逃げ場がなくなり、夜中に蒸れてかえって寝苦しくなる、ということも起こり得ます。
一方、麻やリネンといった素材には、吸湿性・放湿性に優れているという特性があると言われています。こうした素材は、一晩を通して布団の中の湿度を安定させる役割を担いやすいんですね。つまり、「入眠のきっかけをつくる冷感素材」と「一晩の快適さを支える吸放湿素材」は、それぞれ役割が違う、と考えていただくとわかりやすいと思います。お店でも「冷たい敷きパッドに変えたのに、夜中に暑くて目が覚めてしまう」というご相談をいただくことがありますが、その多くは、この役割分担がうまく噛み合っていないケースだったりします。
今日からできる、熱帯夜の寝床内気候チェックリスト
ここまでの内容を踏まえて、今夜から意識できることを整理してみました。
- 就寝前、寝具に軽く手を当ててみる
「ひんやりしすぎていないか」「すでに蒸れていないか」を確認するだけでも、今の寝床内気候のヒントになります。 - エアコンは「切るタイミング」より「室温26℃前後を保つ使い方」を意識する
途中で切って暑さで目が覚めるより、朝まで快適な室温を保つ発想に切り替えてみてください。 - 敷きパッドやシーツは、冷感タイプと吸湿・放湿タイプの特性を知って選ぶ
それぞれ役割が違うので、「どちらが自分の悩みに合うか」で選ぶのがポイントです。 - 寝具選びの基準を「朝までの快適さ」にも広げる
触れた瞬間のひんやり感だけでなく、一晩通してどうかという視点を持ってみてください。 - 迷ったときは、実際に店頭で触れて、寝転んで確かめる
素材の違いは、実際に肌で感じるのがいちばんわかりやすいです。
一つひとつは小さなことですが、「室温」と「布団の中」を分けて考えられるようになるだけでも、寝苦しさの感じ方は変わってくるはずです。
まとめ ── 「室温」と「布団の中」、両方を整えることが熱帯夜対策の第一歩
- 熱帯夜に眠れないのは、単に気温が高いからだけではなく、体からの放熱がうまくいかず深部体温が下がりきらないため
- エアコンで室温を下げても、布団の中の「寝床内気候」(温度33℃±1℃・湿度50%±5%が目安)が整うとは限らない
- 冷感素材は入眠のきっかけ、吸湿・放湿素材は一晩の快適さ、というように寝具には役割分担がある
ちなみに、梅雨時期の寝苦しさは湿度が主役、熱帯夜は温度と放熱が主役、というように季節によって「布団の中」で起きていることは少しずつ違います。梅雨の寝床内気候については以前の記事でも詳しく触れていますので、あわせて読んでみてください。
とはいえ、寝具選びの最適解は、体質や寝相、冷え性か暑がりかによって一人ひとり違います。ネットの情報だけでは、どうしても「一般論」の域を出ません。
「自分の寝具が、今の体質やこの季節に合っているのか、実際に確かめてみたい」という方は、ぜひ『ねむりの相談所』にお立ち寄りください。ねむねむはうすにはスリープマスターの資格を持つスタッフが在籍しており、体型や寝相、冷え・暑がりといった体質に合わせて、寝床内気候をどう整えるかを一緒に考えることができます。今の寝苦しさが、どんな工夫で変わっていくのか、ぜひ一度、店頭で確かめてみてください。
▶︎ ねむねむはうす公式サイト
▶︎ 『ねむりの相談所』公式サイト
参考・出典
- 京都新聞デジタル「京都市、観測史上初の『60-60』」 https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/1562138
- 気象庁「2025年の猛暑日・真夏日などの日数」 https://www.data.jma.go.jp/stats/stat/202515/tem_ctg_days_202515.html
- パナソニック株式会社「夏の睡眠に関する意識調査」(2025年・PR TIMES) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001068.000024101.html
- ダイキン工業「夏の睡眠時のエアコン使用に関する意識調査」(2023年) https://www.daikin.co.jp/press/2023/20230808
- テルモ体温研究所「睡眠と体温」 https://www.terumo-taion.jp/health/sleep/article01.html
- 医療法人 桃仁会 リハビリテーションだより(2022年3月号)
- 快眠タイムズ「睡眠に最適な温度と湿度『寝床内気候』とは」 https://kaimin-times.com/blogs/sleep/best-temperature-and-humidity-for-sleeping-10017
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『ねむねむはうす』は滋賀県近江八幡市にある、自社工場を持つ創業明治6年の老舗ふとんメーカーです。nishikawaの専門チェーン寝具店として、スリープマスターが4名在籍しており、お客様一人ひとりの睡眠のお悩みに寄り添ったアドバイスと寝具選びをサポートしております。
スリープマスターのいるお店だけが開設できる、nishikawa提供の睡眠解析サービス『ねむりの相談所』も開設中。お客様に合った快適な眠りをご提案しております。
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