新婚のマットレス選び方|ダブルの前に知っておきたい3つのこと
結婚が決まって、これから二人暮らしを始める。新居の準備の中でも、ベッド選びは特別な買い物ですよね。大きなダブルベッドを前に「これからはこれで二人一緒に」と、少し照れくさそうにベッドを選ばれる新婚のお客様を、お店でもよくお見かけします。
実は、新婚のマットレス選びには、多くの方が見落としがちなポイントがあります。新婚さんのベッドはダブルがいちばん人気なのですが、その先の暮らしを考えると、ちょっと立ち止まって考えてみてほしいことがあるんです。

新婚のベッド、実は4割以上がダブルを選んでいます
ゼクシィの「新生活準備調査」(2015年、首都圏・東海・関西の411人が回答)では、新婚さんが購入したベッドサイズはダブルが44.2%でいちばん多い結果でした。次がシングル2台で26.1%、クイーンが10.0%、セミダブル1台が9.4%です。10年以上前の調査なので今は少し変わっているかもしれませんが、お店でうかがっていても「まずダブルを考えていた」という新婚のお客様は今も多い印象です。
「新婚=ダブル」というのは、思い込みではなく、実際にいちばん多い選択なんですね。ただ、同じ調査を見てみると、気になる変化があります。シングル2台を選ぶ新婚さんは、2010年の調査では15.1%だったのに対し、2015年には26.1%まで増えているんです。調査から理由まではわかりませんが、お店でうかがう声からは、次の章でお話しする3つのことが関係しているように感じます。
お店でも「まわりがみんなダブルにしたと言っていたので、うちもダブルにしようと思っていました」というご相談をいただくことがあります。いちばん多い選択だからこそ、あまり深く考えずに選んでしまいやすいのがダブルなのかもしれません。
ダブルベッドを選ぶ前に、知っておきたい3つの懸念
先に、はっきりお伝えしておきたいことがあります。部屋に2台置く余裕がない、くっついて眠ることを大切にしたい、というご夫婦にはダブルが合うこともあります。ただ正直にお伝えすると、眠りの専門店としては、大人2人でダブル1枚というのは、あまりおすすめしていません。理由は3つあります。
1人あたり70cm、実はベビーベッドと同じ幅
ダブルベッドの幅は一般的に140cm。これを2人で分けると、1人あたりの幅は70cmになります。実はこの70cm、赤ちゃん用のベビーベッドの標準的な内寸幅とほぼ同じ数字なんです。

日本生理人類学会誌に掲載された研究(木暮・白川、2007年)では、60代の方を対象にした小規模な研究ですが、幅78cmと100cmのマットレスを比較したところ、100cmの方が睡眠の質も「よく眠れた」という実感も良好だったと報告されています。ダブルの1人分70cmは、この研究の78cmよりもさらに狭い数字なんですね。
大人は一晩に20回前後、寝返りを打つと言われています。寝返りは、体の一部にかかる負担を分散させる動きだと考えられていて、その動きやすさには幅も関係していると考えられています。お店でダブルに2人で横になっていただくと、「思ったより肩が触れますね」とおっしゃる方も少なくありません。寝返りと眠りの関係については、こちらの記事でも詳しく解説していますので、気になる方はあわせてご覧ください。

相手の動き・生活リズムの違いが伝わりやすい
マットレスの中のバネには、コイルが連結しているタイプ(ボンネルコイル)と、1つずつ独立しているタイプ(ポケットコイル)があります。一般に、ボンネルコイルは振動が伝わりやすく、ポケットコイルは伝わりにくいと言われています。「伝わらない」ではなく「伝わりにくい」という程度の話だという点は、正確にお伝えしておきたいところです。
新婚のうちは、お互いの生活リズムがまだ完全には合っていないことも多いですよね。共働きで帰宅時間や就寝時間がずれることもあります。1枚のマットレスを共有していると、片方の寝返りや、遅く帰ってベッドに入る動きが、もう片方に伝わりやすくなる可能性があります。
お店でも「隣で動く気配で目が覚めてしまう」というご相談をいただくことがあります。ダブル1枚か、シングル2台かを選ぶ際は、こうした生活リズムの違いも考えておきたいポイントです。
引越しで、ダブルは搬入できないことがある
ゼクシィの同じ調査では、新婚さんの新居は賃貸が約7割(70.1%)を占めています。つまり、多くの新婚さんは、いずれ新居から次の住まいへ引っ越す可能性が高いということです。
スプリング(コイル)入りのダブルマットレスは折りたためません。幅が140cmあると、エレベーターの中や折り返し階段の踊り場で、斜めにしたり向きを変えたりする余裕がなくなりやすいんです。シングル(幅約97cm)なら1台ずつ運べるので、制約を受けにくくなります。
実際に、階段を通らなかったダブルのマットレスを2階のベランダから吊り上げて搬入した、という引越し業者さんの事例も公開されています。吊り上げになると追加の費用もかかります。お店でも「今の家には入ったけれど、次の家で入るかどうかまでは考えていなかった」というお声をうかがうことがあります。「今の部屋に入るか」だけでなく、「次の家にも運べるか」まで、購入前に一度考えておきたいポイントです。
今の2人だけじゃない。10年後の家族で考える
ここまでお伝えした3つの懸念に共通しているのは、「今の2人」だけを見て選んでしまうと、あとで困りやすいということです。ここからは、この記事で一番お伝えしたいポイント、時間軸で考える視点についてお話しします。
厚生労働省の統計(「出生に関する統計」令和3年度報告)によると、結婚してから第1子が生まれるまでの平均は2.45年(約2年半)、第2子までは4.93年(約5年)とされています(令和元年の数値)。お子さんを考えているご夫婦であれば、結婚から2年半ほどで3人家族、5年ほどで4人家族になる可能性があるということですね。
住まいも変わります。SUUMOの調査(2019年)では、住宅購入を考え始めたきっかけの1位が「結婚」、2位が「第一子出生」でした。初めて家を買う方の平均年齢は30代後半から40歳前後(国土交通省、令和6年度)で、平均初婚年齢が夫31.1歳(厚生労働省、2024年)ですから、平均値をつなげた目安でいうと、結婚から6〜9年ほどで家の購入を考える時期が来る計算です。
一方、マットレスはメーカー各社の目安で8〜10年ほど使えると言われています。つまり、新婚のときに選んだ1枚のマットレスは、その間に「2人→3人→4人」という家族構成の変化と、「賃貸→持ち家」という住み替えの、両方を経験する可能性があるんです。

お店でも、こんなご相談をいただいたことがあります。結婚したときにダブルベッドを選び、ベビーベッドを卒業したお子さんが真ん中で眠るようになり、いよいよ手狭になったので横にシングルを1台足そうとしたところ、ダブルに合わせてクローゼットやチェストを配置していたため、どこにも入らなかったそうです。「サイズを変えたくても、部屋がもう決まってしまっている」というお話でした。
「シングル2台はダブルより高いのでは」と感じる方もいらっしゃると思います。たしかに、先ほどのゼクシィの調査では平均総額はダブルが12.9万円、シングル2台が17.7万円と、5万円ほどの差がありました。ただ、2台なら将来の使い道が広がりますし、買い直しの回数が減る可能性もあります。目先の差額だけでなく、10年でどう使うかまで含めて考えていただくと、判断が変わってくるかもしれません。
家族が増えると分かっていて、あえて2人乗りの車を選ぶ方は少ないですよね。ランドセルや洋服も、成長を見越して少し大きめを選ぶことが多いと思います。ですが、毎晩7〜8時間使う寝床は、「今」の2人だけで決めてしまいがちです。10年先まで一度想像してみると、今選ぼうとしているベッドが、この先どんな暮らしに付き合っていくのか、見えてくるものがあると思います。
マットレスの寿命や買い替えの目安については、こちらの記事で詳しく解説しています。

新婚の寝室に多い「6畳」、置けるベッドは何台?
新婚さんの新居の間取りは、2LDKが40.2%で最多です(ゼクシィ、2015年)。多くの場合、寝室にあてられるのは個室1室、6畳前後という広さになります。マットレス大学の調査(2021年、740人)でも、夫婦2人の寝室は「6畳」が46.2%で最多という結果が出ています。
では、6畳の部屋にベッドを置くと、実際どのくらいの余裕があるのでしょうか。6畳の実寸は、関東などで一般的な「江戸間」で約352cm×264cmほど。賃貸マンションでは、これよりさらに小さい「団地間」(約340cm×255cm)のこともあります。ベッドと壁の間には、通路として最低50〜60cmほど確保したいところです。
- ダブル1台(幅140cm): 短辺264cmに置いても両側に60cmずつ通路が取れます。2人のうちはゆとりがありますが、後からもう1台足すときは、残りのスペースに入るかどうかが問題になります
- シングル2台(幅約194cm): 短辺264cmに置くと、残りは約70cm。通路は片側に寄せる形になり、部屋の4割ほどがベッドで埋まる計算です
- シングル3台(幅約291cm): 短辺264cmには入りません。長辺352cmに沿わせても残りは60cmほどで、置けたとしても通路はほとんど残らず、ドアやクローゼットの位置によっては難しくなります

お店でも、「6畳の部屋にシングル2台を並べて川の字で寝ていたけれど、次の子が生まれて、ベビーベッドを置く場所も、上の子の寝床を広げる余裕もない」というご相談をいただくことがあります。数字の上では入りそうでも、クローゼットやドアの開け閉めまで考えると、実際に置けるかどうかは変わってきます。
だからこそ、順番が大切です。「サイズを決めてから部屋に押し込む」のではなく、「部屋の広さを測る→ベッドをどこに置くか決める→入る範囲でサイズを選ぶ」という順番なら、無理な買い替えを避けやすくなります。新居を内見するときは、メジャーを1本持っていって、寝室の壁から壁までの幅と奥行き、ドアやクローゼットの位置を測っておいてみてください。
そして6畳なら、今は2台で使い、赤ちゃんの時期はベビーベッドを横に置き、その後は1台を子ども部屋へ、という「出口」まで決めておくのがポイントです。敷布団を使う場合のサイズの考え方は、こちらの記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。

将来お子さんが生まれたときのために、今から意識したいこと
もう一つ、知っておいていただきたいことがあります。博報堂教育財団こども研究所の調査(2025年)によると、小学4〜6年生の約7割、中学生でも約4割が、家族と同じ部屋で寝ているという結果が出ています。「一緒に寝る期間」は、思っているより長く続くご家庭が多いんですね。
ただし、乳児期については、はっきりした注意点があります。消費者庁は、大人用ベッドからの転落や、ベッドと壁の隙間での窒息事故を受けて、0〜1歳のうちはできるだけ大人用ベッドではなくベビーベッドで寝かせることを勧めています。ベッドと壁の間に隙間を作らないこと、やわらかい寝具やクッションを赤ちゃんの周りに置かないことも大切です。この注意喚起をふまえると、同じ部屋で眠りつつ、赤ちゃんの寝床は分けておく、という形が安心です。
その先を見据えるなら、将来分けられる組み合わせを選んでおくのも一つの方法です。たとえばシングル+シングル、シングル+セミダブルといった組み合わせにしておけば、お子さんが1人で寝るようになったタイミングで、1台だけを子ども部屋に移すこともできます。お店でも、「ベビーベッドをどこに置くか」まで一緒に考えるご相談をいただくことがあります。お子さんの寝具選びについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。

今日からできる、新婚のベッド選びチェックリスト
ここまでの内容を、チェックリストにまとめてみました。ベッド選びの前に、ぜひ確認してみてください。
- 寝室の実寸を測る(家具を置く前の壁から壁までの幅・奥行き)
- 内見のときは、ベッドまわりの通路幅50〜60cmが確保できるか確認する
- 結婚・出産・住み替えなど、家族のライフイベントを紙に書き出してみる
- 将来分けられる組み合わせ(シングル+シングルなど)も候補に入れておく
- 搬入経路(エレベーターの中の広さ、階段の踊り場の奥行き)を確認する
一気に全部を確認する必要はありません。できるところから、一つずつ試してみてください。
まとめ|新婚のベッド選びは「今の2人」より「10年後の家族」で
- 新婚さんが選ぶベッドは、ダブルが44.2%でいちばん多い一方、シングル2台を選ぶ方も増えています(ゼクシィ2015年)
- ダブル1人分の幅70cmは、ベビーベッドの内寸幅とほぼ同じ。相手の動きの伝わりやすさや、引越しの搬入経路も含めて、3つの懸念を確認しておきたいところです
- マットレスはメーカー各社の目安で8〜10年ほど使えると言われています。その間に家族構成や住まいが変わる可能性があるので、「今の2人」より「10年後の家族」を見据えて選ぶことをおすすめします
ねむねむはうすでは、新婚のお二人の寝室づくりについて、お一人おひとりに合わせてご相談を承っています。「ねむりの相談所」では、スリープマスターが、お部屋の広さや今後のライフプランをうかがいながら、ベッドサイズのご相談にも対応しています。新居の間取り図や寸法のメモをお持ちいただくと、配置まで一緒に考えられます。すでにダブルをお使いの方も、並べ方や足し方の工夫でできることはありますので、ベッドサイズに限らず、眠りに関することはお気軽にご来店ください。
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この記事を書いた人: ねむねむはうす スリープマスター/最終更新日: 2026年9月27日
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、診断・治療を目的としたものではありません。
参考・出典
- ゼクシィ「新生活準備調査2015」(リクルート、2015年6〜7月、首都圏・東海・関西411人) https://souken.zexy.net/data/trend2015/XY_ML15_report.pdf
- 木暮貴政・白川修一郎「マットレスの幅が睡眠に及ぼす影響」日本生理人類学会誌 12(3):147-151, 2007. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpa/12/3/12_KJ00004699490/_article/-char/ja/
- 山田朱織枕研究所「寝返りの回数」 https://makura.co.jp/column/braintrivia/rollover/
- カトージ「ベビーベッド レギュラーサイズ(内寸70×120cm)」 https://www.katojirental.jp/view/item/000000000102
- 厚生労働省「令和3年度 出生に関する統計」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/syussyo07/dl/gaikyou.pdf
- 厚生労働省「令和6年 人口動態統計月報年計(概数)」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai24/dl/gaikyouR6.pdf
- SUUMO「住宅購入・建築検討者調査2019」 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000266.000028482.html
- 国土交通省「令和6年度 住宅市場動向調査報告書」 https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001900667.pdf
- マットレス大学「夫婦の理想の寝室は何畳?【740名調査】」2021年9月 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000014.000071404.html
- 畳の寸法(江戸間・団地間) https://www.yunyuuya.com/f/roomsize
- a.flat「寝室のレイアウト(ベッドまわりの通路幅)」 https://aflat.asia/coordinate/guide/layout-plan/step3/bed-room/index.html
- 博報堂教育財団こども研究所「子どもの睡眠調査」(2025年3月10日公表、調査日2025年1月26日、小4〜中3男女600人) https://kodomoken.hakuhodofoundation.or.jp/topics/1549/
- 消費者庁「ベビーベッドや大人用ベッドからの子どもの転落事故に注意!」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_041/assets/consumer_safety_cms204_20201113_01.pdf
- 日本橋西川「ボンネルコイルとポケットコイルの違い」 https://www.nihonbashi-nishikawa.com/column/bed/bonnell-coil-mattress/
- ネオワークス「ダブルマットレスの吊り上げ搬入事例」 https://www.neo-works.co.jp/info/article-94/
- a.flat「引越し・搬入時のベッドサイズの注意点」 https://aflat.asia/coordinate/guide/move-in/bed/index.html
- フランスベッド「マットレスの寿命・買い替え時期の目安」 https://interior.francebed.co.jp/spring/faq/about-mattress/change.php
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